あふれる笑顔だより一食レポート

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エチオピア植林事業

「一食支援の現場から」エチオピア現地リポート(植林事業)

2009.7.6記載


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「こんなに大きくなりました!」。6年前、30センチほどだったユーカリの苗木は、住民の努力によって3メートルにまで成長した(アディモ・ファルス地区)

立正佼成会一食(いちじき)平和基金運営委員会の事務局スタッフがこのほど、エチオピア北部のティグレ州を訪れ、同基金が現地NGO(非政府機関)のREST(ティグレ救援協会)と合同で進めている植林事業と「アフリカへ毛布をおくる運動」の配布状況を視察しました。植林事業の視察の様子や活動の成果を紹介します。

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植林の事業が実施されているセハーティ・サムレ村。褐色だった大地に緑の低木がしっかりと根付いていた

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支援地域では、子供たちが笑顔で迎えてくれた。一食による支援が子供たちの未来につながっている

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植林によって土地の保水力が高まり、井戸の設置が可能となった。安全な水の確保は住民の大きな喜びとなっている(マイ・ツァダカン地区)

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一食の支援でつくられた苗床には20種類以上の苗木が育つ。周辺地域には、14年前に植林した木々が生い茂っていた

戦争と無計画な伐採で荒野に

ティグレ州の州都メケレの南西60キロに位置するセハーティ・サムレ村。土と岩肌がむき出しになった褐色の景色が広がり、緑はといえば周囲の山々に点在する低木が目につくほどだ。

かつて国土の40%が森林で覆われていたといわれるエチオピア。1975年以降17年間に及ぶ内戦、加えて、エチオピアからの独立を目指したエリトリアとの紛争で土地は荒廃した。また森林は、燃料の確保を目的に、住民たちにより無計画に伐採された。

さらに、80年代には度重なる干ばつに見舞われ、国土の大半が荒野となった。現在も水資源に乏しい状況は続き、深刻な問題となっている。

このような背景から、本会一食平和基金は93年、RESTと合同で植林事業を開始した。セハーティ・サムレ村内5カ所に苗床を設け、荒地でも根付く植生の苗木を育成している。これまでに、同村内の10地区に約1400万本の苗木が植えられた。

住民の主体性を重視した支援

マイ・ツァダカン地区では3年前から植林が進められてきた。山肌に多くの石が転がる山道を登ると、緑の葉をつけた低木が根を張り、その周りには茶色い草が茂っていた。

「ここはかつて、岩だらけで特に荒廃したエリアでした」。そう語るのはRESTの植林専門家ファンタイ・アセファさん(27)。

1年目に植えた苗木はほとんど育たなかったという。乾燥した土地では、植えた苗木が必ず根付くとは限らない。その年の降雨量や土壌と苗木の相性によって失敗に終わるケースも少なくなく、毎年、苗木の種類を変えるといった試行錯誤が繰り返されてきた。忍耐と根気を要する取り組みだ。

この地区には、土地の保水力を高めるサスパーニャや建築資材となるドトーニャ、オーリアなど3万本の苗木が植えられた。

「2年、3年と繰り返すことでようやく苗木が根付き、その根が土留めとなって表土流失を防ぎ、土の保水力が高まりました。年を追うごとに成果が上がっています」と説明した。

RESTでは、住民の主体性を重視した支援を心がけている。同地区では、RESTのサポートのもと、植林作業や土地の管理は住民自身の手で進められている。そうでなければ、真の復興につながらないと考えるからだ。

住民たちの努力によって今、植林した75%の樹木が根を張り、土地の保水力が高まった。それにより、住民が掘削した井戸から水がわき出るようになった。その井戸は、近隣の地区に住む人々も利用でき、多くの住民に安全な水を提供している。

同地区の住民で土地の管理責任者を務めるタスファイ・ヌグスさん(40)は、「植林によってたくさんの恩恵を受けています」と喜びの輪が広がっている様子を紹介。「いくら掘っても水が出なかったこの土地に井戸ができたことは大きな喜びです。本当に素晴らしい。この土地をこれからも、みんなで大切に守っていきます」と決意を語った。

苗木を育て管理に皆が力を注ぐ

このあと、03年から植林が開始されたアディモ・ファルス地区を訪問した。ここでは当初、「荒れた土地に苗を植えたところで何も変わらない」と住民たちから声が上がっていた。しかし、本会会員を含む日本からのボランティア隊の存在が、変革の機縁となった。

アケザ・カベテさん(36)は、「家族や友人、仕事を置いて私たちのためにここまで来てくれた。そして、一生懸命に苗を植えてくれる姿に励まされました」と当時を振り返る。

「苗木を育て、守っていく」。ボランティア隊と交わした約束を守り、住民たちはその後、野生動物に植えたばかりの苗木を食べられないよう石垣を設けるなどして苗木や土地の管理に力を注いだ。30センチ程度だったユーカリの苗木は6年の月日を経て3メートル近くまで育ち、保水力が高まったことにより岩場だった土地に草が生い茂った。

今、その草は住民たちの管理のもと、家畜の餌として分配されている。「家畜に十分な餌を与えられることで乳牛から取れるミルクの量が増え、雄牛も肉付きがよくなって収入が増えました。そのおかげで、私の家では6人の子供たちに文房具を買うことができました」とアケザさん。「日本の皆さんの姿を通して、挑戦していく大切さ、自分たちの手で状況を変えられることを知りました。今は未来への希望が持てるようになりました。ここでの取り組みは成功しています」と語り、物心両面からの支援に心からの謝意を表した。

各地で話を聞いた住民たちは皆、会話の最後にこう言った。「皆さんの幸せを祈ります」。遠く離れた日本とエチオピア。植林の取り組みを介して、互いのために祈り合う心のつながりを感じた。

(2009年7月5日『佼成新聞』より)

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