
【背景】
天然資源に恵まれているラオスでは、約8割の人々が農村部に暮らし、豊かな森に依拠した生活を営んでいます。人々は、タケノコやキノコなど森から得る林産物を自家消費する他、採取したこれらの食材を市場で販売することにより現金収入を得てきました。(写真:ラオスの豊かな森)

ラオス人の大部分は、稲作を中心とする農業に従事していますが、その農法は天水に頼ったものであり、収量は不安定で、多くの村では米不足の事態に陥っています。この米不足を補うのが、森から取れる林産物や小川からの魚といった天然資源で、自然資源が人々の暮らしのセーフティネットの役割を果たしています。ところが、大規模プランテーションなど外部からの開発により、さらに、人口増加による自然資源の過剰採取および農地開拓という事情により、近年森の減少が加速しています。(写真:伐採され運び出される木材)

活動対象地では、低収量による米不足が深刻な問題となっています。この原因としては、洪水を受けやすい立地条件であることに加え、質の悪い土壌が挙げられます。近年、収量を増やすために化学肥料や農薬を使用する村人が増えていますが、投入額が増収額を上回り、これらの購入費用が家計を圧迫するケースもあります。また、農薬の田んぼへの投入により、畦で取れる魚や蛙が死滅してしまった事例も見られ始めました。(写真:伐採地の跡地に広がるプランテーション)
【プロジェクトの内容】
サワナケート県の活動は2008年12月にラオス行政から許可が下り、2009年1月から本格的に始まっています。本活動は3年計画で実施されていて、本年度は3年目の最終年にあたります。
●生活を支える森林保全活動
村人が伝統的に使用してきた土地や森林を正式に共有地として登録して村人の権利を確保することを目的に、土地を用途によって区分する仕組みである「参加型土地利用計画」を進めています。また、土地と森林に関する法律や自然資源の管理方法を伝えることによって、村人が持続的に森を使用できる環境を整えています。
●地域の資源を活用した農業・生活改善
生計の柱となる農業において、身の回りの資源を利用した持続的農業を支援しています。

- 幼苗一本植え(SRI)の推進
発芽後15日前後の苗を一本ずつ、30センチの間隔をあけて一直線に植える方法で、一本の稲の苗から多くの分桔を得ることができ、種籾の節約と米の収量の増加に繋がります。(写真:SRIに取り組む農家による田植え)
- 土壌改善
ボカシ肥作り研修に加え、堆肥作り研修を導入しています。借金の原因になりうる化学肥料に頼らなくても、身近な素材を利用して、栄養分のある農地を作ります。

- 家畜飼育・養魚研修
各村で草の根獣医を育成し、持続的にワクチン投与ができるような村の環境を整えます。また、貧困層対策として、労働力や資金の投入が少なくても済むヤギ飼育を推進するために、借りたヤギを生まれたヤギから返す仕組み「ヤギ銀行」を導入しています。さらに、食糧安全確保と小規模現金収入を目的として、魚の粗放養殖技術研修を実施しています。(写真:JVCスタッフの指導を受けながら鶏にワクチンを接種する草の根獣医研修生)
- 家庭菜園・果樹栽培研修
雨季、乾季それぞれで家庭菜園・果樹栽培研修を行い、自然からの採取からだけでない食糧安全確保を目指します。また、地域へ家庭菜園の普及を目指して、学校での菜園作り行っています。
- 水環境の整備
浅井戸、低コストポンプや深井戸などの補修、建設を実施しています。これによって、衛生的で安全な水を一年中確保できるようにしています。
- 米銀行
米の収穫後に米を預け、米が最も不足する初夏の時期に貸し出して、秋の収穫時期にまた利子をつけて米を返却するシステムです。米銀行があると村内で低利で米を借りることができます。また、利子が溜まると村の学校や寺の建設などにも利用できます。
- ネットワーク活動
活動地の行政官と村人を対象に、タイ東北部で行われている複合農業の成功例に触れる機会を提供します。