NGOの「危機管理・安全管理」研修
プロジェクト終了報告
2010.9.20記載
【プロジェクト全体の成果】

国際協力NGOは海外の様々な現場で活動を行っており、危機管理・安全管理を行うことは活動をしていく上で欠かせません。また、海外の現場を支える団体の運営上も危機管理は非常に重要です。
このような認識から、「NGOの『危機管理・安全管理』研修」では、NGOの活動を支える基盤として、NGOの活動地における安全管理という外部環境によって生じる危機と、NGOの組織運営における組織内部で起こりうる危機という双方の視点から「危機管理・安全管理」を捉え、NGOとしてどのように取り組んでいくべきかを学ぶ研修機会をNGO関係者に提供してきました。
本年度は、3地域(東京、北海道、沖縄)での研修開催に加え、5ヵ年にわたって開催してきたことの総括事業として、第一線で活動するNGO関係者をパネリストに招き「NGOの危機管理・安全管理」を振り返るシンポジウムと、参加団体へのアンケート調査を行いました。
研修事業は、主にNGOで管理部門の業務を担うスタッフを対象とし、総務や労務等の業務を重点とした宿泊研修(一泊二日)を東京で開催しました。労務、情報管理、メンタルヘルス、感染症対策について、専門家や経験者の講義を受けながら、参加者同士の課題を共有する中で情報交換も進みました。
北海道と沖縄で開催された研修は、昨年度までに東京での本研修を受講した団体が、それぞれの地域でも研修の必要性を感じ協力団体として実施したことで、地域のニーズを織り込んだ研修を実施することができました。
■NGOの危機管理・安全管理研修(東京)
2009年10月23日(金)~24日(土)参加者15名
○内容
・アイスブレイキング
・法律の基礎知識 労務編
・メンタルヘルス
・情報管理
・研修の振り返り
・感染症対策の事例紹介

■NGOの危機管理・安全管理研修 地域開催(北海道)
2009年11月6日(金)参加者20名
○内容
・ボランティアと共に組織をパワーアップする
・組織のリスクマネジメントについて
・NGOの社会的責任について
■NGOの危機管理・安全管理研修 地域開催(沖縄)
2010年1月21日(木)22日(金)参加者11名
○内容
・ワークショップ:沖縄から海外に届けているものは何?
・意見交換:地域から発信する際の課題、地域の事例共有
・ワークショップ:「海外から沖縄に届けているものは何?国際協力を伝えられずにぶつかる壁は何?」
総括事業では、過去5年間に本研修に参加した109団体に対し、参加者の勤続状況、研修効果、危機管理・安全管理に関して抱える課題、今後希望する研修等に関するアンケート調査を行いました。団体内での意識の高まりや、知識の習得などの成果が大いに見られ、具体的な改善策を取り入れた団体も見られる一方、組織全体として対策を実施するまでには課題を残す団体もあることがわかりました。
最終プログラムとして「総括! NGOの危機管理・安全管理の5年間~リスクに強いこれからのNGOのあり方とは」と題するシンポジウムを開催し、約40名のNGO関係者が参加しました。第1セッションでは紛争地におけるNGOの活動をテーマに、第2セッションではNGOの運営や労務管理に関しパネルディスカッションが行われました。
■シンポジウム「総括!NGOの危機管理・安全管理の5年間~リスクに強いこれからのNGOのあり方とは~」(3月5日(金)開催)
○内容
・セッション1:イラク、アフガン・・・NGOは紛争地で活動できるの!?
ファシリテーター:長有紀枝(難民を助ける会理事長)
パネリスト:佐藤真紀(日本イラク医療支援ネットワーク事務局長)
山本理夏(ピースウィンズ・ジャパン事業責任者)
谷山博史(日本国際ボランティアセンター代表、
国際協力NGOセンター副理事長)
・セッション2:給料、出産、育児、燃え尽き、ストレス、定年
・・・団体としての対応や制度整備の取り組みは?
ファシリテーター:佐藤真紀(日本イラク医療支援ネットワーク事務局長)
パネリスト:山本理夏(ピースウィンズ・ジャパン事業責任者)
冷水創史(ワールド・ビジョン・ジャパン総務課人事・教育担当)
長有紀枝(難民を助ける会理事長)
【今後の展望】
本事業の最終年度にあたって実施した総括事業からは、これまでの研修での成果と今後の課題を振り返ることができました。今後は研修等を通じて、さらにNGOの組織運営・管理に関する領域での能力強化が求められることを踏まえ、よりテーマを絞った形で体系的に組織運営・管理を学ぶ機会を提供していきたいと考えています。
また、研修対象層に確実に広めることができるよう、地方のNGOや少ない人員で活動しているため研修参加機会が限られているNGOに対する学習機会の確保の在り方について、集合型研修だけでなく適切な形での提供も検討していきたいと考えています。
スタッフの声
2004年度からご支援をいただいている本事業は、最終年度にあたる5ヵ年度目の事業を完了することができました。本事業の総まとめとして、研修事業に加えて総括事業にも力を入れて実施したことで、これまでの取り組みとその成果と課題を振り返ることができたことが、特に貴重な機会となりました。
また、研修事業では、講義はもちろんのこと、研修参加者同士や講師の方との交流や情報交換が活発にされていたことが印象的でした。研修でそのような場を提供し横のつながりを作ることも、NGOスタッフが活動しやすい環境につながっていくと実感しました。
NGOが活動を進めていく上でより強化していくべきことは多々あり、また人材の育成や組織の強化は一朝一夕に成果が見えるものではありませんが、これまでの研修で積み重ねてきたことを実感しつつ、今後引き継いでいきたいことを再認識することができました。
竹崎希(能力強化グループ職員)
支援を受けた人の声
「気付いていなかった、自分たちの団体の危うさが沢山出てきました。」
「各々の局面の危機に対して対応を立てていくには、どのような姿勢で向ったらいいのかを学ぶことができました。今後は、まず、スタッフ全員で危機について考え、整理する場をもっていきたいです。」
「講師の先生方のお話の内容もすばらしく大変参考になりました。また、研修参加者のモチベーションが高く、全てが勉強になりました。」
「講義の項目がしっかりしていて大変参考になりました。参加者間のコミュニケーションもよく、今度とも連絡を取りたいと思います。」