支援プロジェクト


パルワン県における学校環境整備及び衛生教育事業 - プロジェクト概要

対象校唯一のトイレ

【背景】

アフガニスタンでは、約30年に及ぶ戦乱により、国内のほとんどの生活基盤が破壊され、国際機関、政府機関およびNGO団体等が復興支援を実施していますが、今もなお、支援が必要とされています。

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外で汲まれて保存された水を飲む生徒

同国では、適切に処理された安全な水にアクセスできる人口は限られ、都市部と地方では改善された給水施設にアクセスできる人々の割合に格差があります。都市部では2012年の時点で90%の人々が改善された給水施設にアクセスできるのに対し、地方部では56%となっています(世界銀行、2012)。

また、UNDPのHuman Development Report 2014によると、アフガニスタンにおける5歳未満の死亡率は出生1,000人に対して99人となっています。これは世界の平均48名に対して、ほぼ2倍の数字です。5歳未満の死亡原因を見ると、急性呼吸器感染症が20%、次に下痢が14%とWHOから報告されています。ジェンの今年度の支援対象地域であるパルワン県スルヒ・パルサ地区およびシーハリ地区でも事前に実施した調査では、下痢、胃痛、季節風邪が最も多く見られる病気であり、多くの子どもが頻繫に下痢に悩まされていることが分りました。また、過去に衛生教育を受けた生徒はほとんどいませんでした。学校の衛生施設の45%(53校中23校)は整備されておらず、さらに、校舎が整備されていない学校が約49%(53校中26校)を占めていました。そのため野外、モスクおよびテントでの勉強を強いられており、夏の日差しの強い戸外で勉強している子どもがたくさんいました。

このような状況の中、子どもたちが健康で、安全かつ快適な環境で勉強が出来るように、学校における安全で清潔な給水・衛生施設整備と共に、正しい衛生習慣の普及、そして学校施設整備が必要とされています。ジェンは、2011年から開始したパルワン県での学校環境整備及び衛生教育事業の5ヶ年計画に基づき、毎年同県の2~3地区の学校を対象に学校環境整備及び衛生教育事業を実施しています。

【プロジェクトの内容】
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隣接する男子校の敷地内テントを教室代わりにしている対象の女子校

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隣接する男子校の敷地内のテントを教室代わりにしている

1.パルワン県における学校環境整備及び衛生教育事業
本プロジェクトは、大きく3つの活動に分かれます。

(1)給水・衛生施設を中心とした学校環境整備
 本プロジェクトでは、子どもたちが衛生的な水を使用し、安全な学校生活を送れるよう、チャリカ地区において支援ニーズの特に高い学校を特定し、給水・衛生施設やその他学校施設の整備を実施します。対象校は2校、対象の生徒数は1,476人です。工事後には、必要に応じて公衆衛生局の協力を得ながら、ジェンが水質検査を行います。また、学校運営委員会が自立して施設の維持管理をおこなえるよう20人(10人/校×2校)の委員に対して研修を実施します。
  
(2)衛生教育
 本プロジェクトではチャリカ地区において衛生教育が実施されていなかった学校5校の児童・生徒3,600名を対象に衛生教育を実施します。
本活動では、まず学校教師に研修を行うパルワン県教育局の6人の講師に対し1日間の事前研修を実施し、その6人が133人の学校教師に対して3日間の研修を行います。学校運営員会が学校および生徒の衛生維持・向上に主体的な役割を果たせるよう、50人(10人/校×5校)のメンバーに対して2日間の研修を実施します。学校運営委員会を中心に「学校衛生管理委員会」を形成し、同委員会とジェンが共同して「衛生教育モニタリングチーム」を結成します。その後、石鹸等の衛生キットを学校運営委員会・教師・生徒に配布、3,600人の生徒に対して6ヶ月間の衛生教育を実施します。この間、衛生教育モニタリングチームが3回にわたりモニタリングを行い、関係者と改善について協議します。また、生徒及びコミュニティに対し、衛生教育実施後の知識・態度・行動の変化を測定します。学校および生徒の衛生維持・向上に学校運営委員会が主体的な役割を果たせるよう、衛生教育終了後の3日間のフォローアップ研修を実施し、この際に学校衛生管理委員会と方針・計画策定のための会合も行います。
その他、10月15日の世界手洗いの日に合わせて対象5校が啓発を行うことを支援し、その一環として各校5回ずつ巡回映画上映を実施します。

(3)防災・減災教育
4校3,708人の生徒およびコミュニティ600世帯を対象に、防災・減災教育を実施します。
本活動では、国家災害対策本部と災害対策局の職員計8人に対して事前研修を実施した後、彼らが、4校116人の教師に対して研修を実施します。学校運営委員会を中心に「防災・減災委員会」を形成し、同委員会とジェンが共同して「防災・減災教育モニタリングチーム」を結成し、生徒に対して教師による6ヶ月間の防災・減災教育を実施します。サンプルとして各校につき10人の生徒に対して、教育前後の防災・減災に関する知識・態度・行動を測定し、教育の効果を測ります。
その後、ジェンが作成する災害発生時対応プランを基に、前述の8人の講師が対象校において各校2回の避難訓練を実施します。この訓練は事業終了後、学校運営委員会と防災・減災委員会が継続し、県教育局がこれを監督・フォローする予定です。防災・減災にかかる理解を深めてもらうため、生徒やコミュニティ住民に対して巡回映画上映も行います。
防災・減災教育終了後、学校運営委員会に3日間のフォローアップ研修を実施します。
過去に防災・減災教育が実施されている学校については、モニタリングや協議を行います。

2.ゆめポッケ配布事業
パルワン県では、経済的に困窮している家庭が今も多く、そのような家庭では子どもに文房具やおもちゃを買ってあげることが難しくなっています。そのため、2005年から毎年行っているゆめポッケの配布は、そのような家庭の子どもたちにとって、とても元気がでる、嬉しいプレゼントになっており、今年はチャリカ地区学校10校において、3,300人の低学年児童を対象にゆめポッケを配布します。
 

【これまでの成果】
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既に完成した校舎(奥)と追加建設校舎

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ゆめポッケ配布2016の様子

パルワン県における学校環境整備、衛生教育事業は2010年12月に開始され、本年7月末に完了した事業においてはチャリカ地区の3校で合計 3つの給水・トイレ施設建設、2つの井戸の掘削を実施しました。また、3校合計21教室と2か所の外周壁の修復・建設も完了しています。これにより、生徒たちにとって安全で快適な学習環境を確保することが可能になりました。 

同時にチャリカ地区にある30校を対象に、昨年度は748人の教員と19,904人の生徒が衛生知識を習得しました。衛生教育を受ける以前の2016年6月に、300人の生徒を対象に行ったテストでは、「正しい知識・態度・行動を有している」と評価された生徒が0人で「正しい知識・態度・行動を有していない」と評価された生徒は242人だったのに対し、同年11月に行ったテストでは、後者の評価を受けた生徒は0人、前者の評価を得た生徒は対象全体の97%にあたる291人となりました。

また、防災・減災教育については対象20校の200人の生徒に対して2016年6月に実施した事前テストにおいて「正しい知識・態度・行動を有している」と評価された生徒が0人で「正しい知識・態度・行動を有していない」と評価された生徒は165人だったのに対し、同年11月に行ったテストでは、後者の評価を受けた生徒は0人、前者の評価を得た生徒は対象全体の96.5%にあたる193人となりました。

なお、2011年から2014年の間に事業を行った学校21校のうち20校を訪問し、事業終了後のモニタリングを行ったところ、建設された施設(給水・衛生施設や教室、外周壁、擁壁など)は、適切に管理されていることが確認できました。衛生教育についても、全ての学校で継続されていることが分かり、モニタリング時にヒアリング対象となった全ての人が、「食事前とトイレを使用したあとに手を洗う」と答えているほか、全ての学校において世界手洗いの日のイベントを開催しております。

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