支援プロジェクト


東南アジアにおける農村再生プロジェクト(カンボジア)

2018年4月1日~2019年3月31日(年間)

【プロジェクト全体の成果】
■プロジェクトの評価
食品加工研修講師のコッサン(左)は、JVCの研修を修了した村の女性

食品加工研修講師のコッサン(左)は、JVCの研修を修了した村の女性

2018年度にこれまでの活動について、その成果と課題を洗い出した。評価を通じて、食品加工研修や家庭菜園研修など、参加者の約7割が研修後に実践をしていることが分かった。食品加工研修では、実践者が他村での研修の講師となるなど、同じ農家の目線で行われる研修を開催できた。一方で水へのアクセスとコントロールに困難を抱える農家では、研修の効果が十分に表れていないことが分かり、水へのアクセスの改善を含む、2019年度からの新たな活動方針を打ち立てることができた。

■ため池の掘削
2019年3月に完成したため池の前で

2019年3月に完成したため池の前で

活動評価を経て、対象村の1村・ドンソック村でため池の掘削を開始した。掘削候補地選定を地域の農家と共にワークショップ等を通じて丁寧におこない、2019年3月にため池利用者と、利用に関する申し合わせ(ため池の水を独占しないことなど)を取り決めた後、掘削(横15m X 縦25m X 深さ5m)を行った。このため池は周囲15世帯が共同で利用する水源となる。

■資料・情報センター(TRC)の移管
移管される農業専門書についての話を熱心に聞く学生たち

移管される農業専門書についての話を熱心に聞く学生たち

1994年から運営してきた農業・農村開発に関する資料・情報センター(TRC)を、王立農業大学の図書館に移管した。2019年6月現在、書籍管理番号のついた書籍から図書館の本棚に入り、農業を学ぶ学生や研究者など、カンボジアの将来を担う若い世代に活用されている。2019年2月に移管記念式典を実施した。




■水と小規模菜園の普及

乾季の水不足への対応としてため池の設置を支援する。限られた財源で必要とするすべての人にため池を支援することはできないため、併せて少ない水で野菜栽培ができる農業研修の機会を提供していく。反対に雨季の冠水(洪水)に対しても、有効な農業研修の機会を提供していく。

■販売へのトライアル

販売へのトライアルとしてJVC農業リソースセンターを活用して、シェムリアップ市内の飲食店との連携を事例に農産物の生産・出荷のモデルケースがつくれるかどうかについて実践しながら調査を行う。その結果を元に、対象村の販売を希望する農家が実際に販売に踏み出せるようサポートしていく。すでにこうした販売の取り組みを積極的にしている近隣郡の農家の取り組みを対象農家が見学する機会を提供し、新しい活動を始めたいと考える有志の農家との協働を模索していく。

■外部訪問者による学び合いの機会の提供
2018年5月に訪問していただいた立正佼成会の皆さんと農家の交流。こうした交流を通じて学び合いの機会を提供していきます。

2018年5月に訪問していただいた立正佼成会の皆さんと農家の交流。こうした交流を通じて学び合いの機会を提供していきます。

近年、カンボジアを訪れる観光客は増加しているものの、農村に足を運ぶ人は少ない。外部からの訪問者にとっては、活動村のような農村での暮らしにこそ価値を見出し、刺激を受け、自身の生活を顧みきっかけにもなる。事業対象地域を訪れる人を増やし、訪問者から「農村で暮らすこと」や「有機農業をやっていること」への共感を得て、それが活動村の農家にフィードバックされることで、農村での暮らしや有機農業の価値の再評価につなげていきたい。それが、事業地の農家の自信や刺激にもつながると考える。具体的には、スタディツアーを企画・実施し、地域や国を超えて、お互いが学び合える機会を積極的につくる。

■フォローアップ

これまでに実施していた活動のうち環境教育において完了していない活動(村の歴史語りの冊子化)や植林した樹木の生育状況の確認など、必要なフォローアップを実施していく。

【スタッフの感想、思い出、希望】
ミエン・ソマッチさん

ミエン・ソマッチさん

ミエン・ソマッチ(フィールドスタッフ)
生まれも育ちも、JVCの事業地であるここコンポンクダイです。シェムリアップの街中まで働きに出ていましたが、JVCと出会い、地元で子育てをしながら仕事ができるようになりました。JVCでの業務は、自分の故郷のためになることばかりなので、それに携わることができるのが何より嬉しいです。
コンポンクダイには、乾期に水が足りなくなる村がとても多いです。深刻な水不足で、農作物を育てることができない家庭が多くあります。市場の外国産の野菜に頼ることになり、支出も増加します。
2018年度は過去の活動の成果と課題を整理するための活動の評価のほか、村をまわって生活状況調査を行い、水に関してのインタビューも実施しました。活動評価は、自分を含めたスタッフたちの成長に繋がりました。これらは必ず、村に還元していきたい。評価、調査結果に基づき、最も水不足が深刻な場所に、ため池を掘削しました。掘削場所を決めるときには行政や村長と連携し、村人とも数回会議を持って、掘削場所を決めます。このようにしっかりと話し合いをもちながら支援をするJVCのやり方が、私は好きです。ため池の付近に住む人たちは、これから、過去のJVCの研修を生かして家庭菜園を始めることに意欲を持っています。そのような姿を見るのがとても嬉しいです。まだまだ水が不足している地域があるので、調査をして必要に応じて支援を続けていきたいです。
また、現金収入を得るために、シェムリアップへの野菜やハーブの販売を始めたいという農家さんが出てきているので、しっかりとフォローしていきたいです。いつも応援していただき、ありがとうございます。

【受益者の声:喜び、成果、ゆめ等】
モン・ソーンさん

モン・ソーンさん

モン・ソーン(61歳|2018年度に掘削した池の近隣住民)
過去に数回、JVCの農業研修や調理実習に参加し、作物の育て方や栄養素について学んできました。普段、知識を得る機会がほとんどないので、とても貴重な時間で、大変感謝しています。
自宅から水場まで距離があり、なかなか習った家庭菜園が実践できずにいたのですが、今回、自宅の近くにため池を支援してもらったので、実践を始めることができます。研修で習った栄養価の高い「チャヤ」や、野菜をうえて家族のために使いたいです。本当にありがとうございます。

ポワン・チョムノーさん

ポワン・チョムノーさん

ポワン・チョムノー(30歳|自給を達成し販売にチャレンジをはじめる農家)
先日、JVCが提供してくれたスタディツアーで、シェムリアップの街を視察しました。住んでいる村から車で1時間程ですが、自分たち自身ではなかなか行くことができません。街で売られている野菜のパッケージなどを自分の目で見て学び、大変勉強になりました。このツアーで、シェムリアップにあるレストランがハーブを買いたいと言っていることを知り、挑戦してみたいと思い、先日、コリアンダーの植え方をJVCに研修してもらいました。化学肥料は使っていません。今はフォローをしてもらいながら、毎日世話をしています。販売できる日が楽しみです。
私は夫と離婚していて子どもも小さく、家には高齢の両親がいます。外に出て働くことが難しいので、自宅にいながら現金収入を得られる手段を知れるのはとても助かりますし、野菜がもしも外に売れるのなら、とても嬉しい発見です。困難もあると思いますが、実践して、収入につなげていきたいです。

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