支援プロジェクト


帰還民支援プロジェクト

2016年3月22日~2017年3月21日

【プロジェクト全体の成果】
スリランカ北部では、2009年から25年以上にわたった内戦の終結から7年が経過し、約46万以上の国内避難民が、紛争前に住んでいた故郷に帰還してきました。避難をしていた間に、自宅の農機具は奪われ、農地は荒廃し、井戸が破壊されるなど、戦前に行っていた農業の再開は困難な状態で、収入は十分ではなく、人びとは未だに不安定な暮らしを強いられています。また、近年、干ばつや洪水などの自然災害が繰り返し起きており、さらに、治安の問題や未だ続く政府軍の干渉などから、近隣の住民と協力体制を築く機会も少なくなっています。

2016年には、北部ムライティブ県とキリノッチ県で45基の農業用井戸建設を行い、93世帯が1年を通して農業用水にアクセスできるようになり、乾季の間も農作物の栽培、収穫が可能になりました。また農業技術ワークショップ・マーケティングワークショップを開催し、生産性・収入の向上を目指し、さらに習得した知識や技術が受益者各世帯で実践できるように、野菜の種や多年草の苗(長豆、茄子、マンゴー、ココナッツ等)と共有農具としてじょうろや噴霧器等を、農業協同組合を通して各世帯へ配布しました。

また自立して井戸の管理や、マーケットの運営ができるようになることを目指し、農業協同組合の機能の一環として、井戸や機材の維持管理をする井戸管理委員会を形成や、各農業協同組合の土地に組合員が農作物や組合の生産物を販売できる小規模マーケットを設置しました。

さらに帰還民の生計回復支援だけではなく、帰還民が地方行政や他組織と団体交渉する力や、話し合いによって課題を解決する力をつけることで、草の根レベルでの民族間の社会的統合の実現を目指し、政府公認の住民組織(農業協同組合)の設立もサポートをしました。

【今後の展望】
今年も引き続きコミュニティの強化に力点を置き、コミュニティの減災意識向上を目指しています。また、近年自然災害が多く、それらに対応できるようになるため、気候変動対応型農業の導入やシードバンクの設立等、減災能力強化支援にも力を入れていきます。これらの研修を通して生産性の向上と、人びとの安定収入を目指します。

【スタッフの感想】
担当者:太田千晶(プログラム オフィサー)
本事業で最も印象に残ったのはキリノッチ県パッチラパライ郡に所在するタンバハマム行政地区の発展です。タンバハマム地区では地雷撤去作業が長引いたため、この地が解放され、人びとが戻ることができたのは終戦後6年経った2015年の後半でした。そのため、本事業が始まった当時はまだ簡易シェルターが建っているだけの殺伐とした風景が広がっていました。本事業ではこの地で13基の井戸建設を行い、種や苗、農具の配布を行いました。タンバハマム地区は土壌が砂地で非常に柔らかいため、井戸建設時も井戸の崩壊が続き、建設が非常に困難だったことを覚えています。その中でも予定通りに建設が完了したのも、事業参加者の方々のサポートをはじめ、建設業者のたゆまぬ努力とジェンエンジニアの豊富な知識の賜物です。そして、建設完了後もジェンフィールドオフィサーのサポートのもと、事業参加者が農業に力を入れた結果、事業終了時にはこの地区にも緑が広がり始めていました。各家庭では落花生や玉ねぎの栽培が盛んに行われており、配布した果樹の苗も植えられています。3年もすると果樹が育ち、実をつけ始め、より多くの収入につながっていきます。本事業ではまだ発展の第一歩を手助けしただけですが、事業参加者のこれからの意欲によって、タンバハマム地区がどのように変わっていくのかを見るのを今から楽しみにしています。

【受益者の声】
ムルカー・キドナラーサ
0701-01-b.jpg私はムラティブ県アンパハマム行政地区に住む2人の子どもを持つ親です。内戦終了後にこの地に戻ってきた時は仕事がなく、小さな家庭菜園を作りながら日雇い労働をしてやっとのことで生計をつないでいました。ジェンの支援により井戸を受け取ったことで、農業のみで生計が立てられるようになりました。毎日畑を耕すことで毎月の収入もあがり、日雇い労働の必要もなくなりました。そのため、家族と一緒に過ごす時間が増え、今では幸せな生活を送ることができています。

マティヤラガン・ニランジャラ
0701-01-a.jpg私はキリノッチ県アナイヴィルンタン行政地区に住んでいます。アナイヴィルンタン地区は幹線道路から55キロも離れているアクセスの悪い地域にあるため、支援が今までほとんど入らず、今まで30年間生活に必要なインフラが不十分な環境で生きてきました。私が2012年にこの地に戻った時は、家も家具も何もかも壊され、隣人と協力し、共有し合うような余裕もありませんでした。ジェンの支援を受けてからは、農業で生計を立てることができ、地域の人々も心に余裕ができたため、ともに畑を耕し、野菜を分け合い、知識を共有し合う事ができています。この事業によって、私は収入の向上だけではなく、コミュニティ内での仲間意識や支え合い、助け合う心を得ることができました。そして、この事業から学んだ一番重要なことは、何事も投げ出さず、共に精進することで目標が達成できるということです。それが学べただけでも、私はジェンにとても感謝しています。

 

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