支援プロジェクト


日本国内難民支援プロジェクト - プロジェクト概要

背景
2018年に日本国内の難民申請者数は10,493人と大幅に減少した一方、難民認定数は42人と増加しました。これは難民申請者の就労や在留を制限する政策の影響と考えられています。しかし、弊会への来訪者数に大きな変化は見られず、これまで同様に年間700人近くが支援を求めて訪れる状況が続いています。
難民問題に関するマスメディアの報道は、難民申請者の大半は制度の「濫用・誤用」、つまり就労目的であるとする法務省の見解を支持する報道を除き、年々減少傾向にあり、関心は弱まっています。2018年に外国人労働者に関して政府が受け入れ拡大に舵を切り、外国人・移民に関する報道は格段に増加しましたが、日本国内の難民問題につながる報道はほぼ見受けられませんでした。

日本国内の難民申請者グラフ

全世界の難民は、2017年末に第二次世界大戦後最多の6,850万人に達しています。2018年12月には国連総会にて、難民に関する「グローバル・コンパクト(包括協約)」が採択され、難民送出国の周辺国に負担が偏る現状から、国際社会に応分の責任の分担(共有)が求められました。また、国家だけではなく社会全体での受け入れの取り組み(自治体、NGO/NPO、教育機関、宗教組織等)を効果的に実施していく方針が合意されました。

この世界の潮流の中で、日本の難民受入れの少なさ、社会統合政策の欠如は類を見ないものです。本事業にはこれまでの取り組みに引き続き、よりよい難民受入れ政策に向けて、日本でも改善がなされるよう、社会の側面から支援していく役割があると考えられます。

プロジェクトの内容

在日難民のよりよい保護・受け入れを目指し、難民理解のための情報発信を通じて、社会への認知啓発と難民を支える人材の育成を行います。

A)認知啓発:難民の「存在」を伝え、日本での受け入れを考えるための情報強化
就労準備日本語プログラムの様子

ウェブサイト掲載写真(難民支援協会事務所にて、物資を提供する様子)

自社メディア発信(ウェブサイト、フェイスブック等)と外部メディア(TV、新聞、ウェブメディア等)の積極的な活用を目指します。
自社メディアでは、数年計画で取り組んでいるウェブサイトの改訂と、新たな企画に注力します。より幅広い層からの難民への関心を具体的な支援につなげられるよう、アクションにつなげるために十分な情報量を整え、難民問題への理解の深化、コミットメントの強化を促していきます。

また、2019年7月に弊会の設立20周年を迎えることから、20周年記念発信のための独立ページを作成し、これまでの取り組みと現在も残る課題をより広く伝えます。

2017年に立ち上げた、移民文化・移民事情を伝えるウェブマガジン「ニッポン複雑紀行」では、引き続き難民も含めた誰もがともに暮らせる社会の魅力や課題を伝えていきます。

ニッポン複雑紀行ウェブページ:www.refugee.or.jp/fukuzatsu

B)人材育成・ボランティア機会の整備

▼大学生を対象とした人材育成
難民の故郷のレシピを学食に導入し、食べることで難民を知り支えるプロジェクト「Meal for Refugees(M4R)」については、参加大学が増えるにつれ、横のつながりを維持し、知見共有することが難しくなってきたことから、年2回の総会開催を通じて、横のつながりを維持・強化することを目指します。それぞれの成功事例や課題を共有する場を定期的に設け、活動の規模や発信力の底上げをするとともに、大学を超えて刺激を与えあえるようなコミュニティに育成していきます。 M4R公式フェイスブック:www.facebook.com/mealforrefugee

2018年1月開催 難民アシスタント養成講座

2018年1月開催 難民アシスタント養成講座

▼難民支援に関わるボランティア機会の整備
2019年で6回目となるチャリティランを中心に、ファンドレイジング・ボランティアの活動に力をいれます
DAN DAN RUN公式ページ:
www.refugees.jp/dandanrun2019

▼難民受入れに関わる人材育成
アシスタント養成講座を通じて、難民受入れにおける課題を包括的に理解しつつ、受入れの可能性を前向きに模索し、主体的に関与できる人材育成を目指します。
難民アシスタント養成講座ウェブページ:https://www.refugee.or.jp/event/

C)難民の社会統合に向けた取り組み

2018年1月より、法務省は2015年から実施している「濫用・誤用的な難民認定申請を抑制するため」の難民認定制度の運用見直しを更に行い、難民申請者の就労や在留をさらに制限する措置が取られるようになりました。JARとしては、就労や在留規制の対象となる人のなかに、難民認定や人道配慮による保護を受けるべき人たちが存在することを強く懸念し、現場の事例を元に状況を把握し、改善につなげるよう取り組んでいきます。

これまでの成果

マスメディアを通じた発信に加え、難民支援協会ウェブサイトでの情報発信に努め、世界および日本の難民の状況に関する情報と共に、日本で難民を受け入れるために必要な課題解決や、私たち一人ひとりができることを訴えてきました。国内メディアの難民関連記事は減少傾向にありますが、難民問題への市民からの関心は高い状態が続いており、より深く現状の課題を伝え理解を促すため、ウェブサイトのリニューアルに取り組んできました。

また難民を含む多様な人々と共生する社会を認識することを目的として、2017年末に日本国内の移民文化・移民事情を伝えるウェブマガジン『ニッポン複雑紀行』を立ち上げ、毎月記事を配信、半期で約28万回閲覧と非常に多くのアクセスが寄せられ、メディアでも紹介されました。

人材育成においては、学生との取り組み「Meal for Refugees(M4R)」の導入大学が引き続き増え、累計38校、寄付金は147万円を突破しました。各大学ではメンバーが積極的に活動に取り組んでおり、また参加大学が増えたことから始まった年2回の総会では、地方からも多くのメンバーが集まり、成功事例や課題を共有するなど相互連携が進んでいます。2018年には南山大学M4Rと大手コンビニ・ローソンのコラボ商品も実現しました。2日間の講座を通して難民受け入れにおける課題を包括的に学ぶ「難民アシスタント養成講座」は、2019年1月でこれまで開催回数の合計が39回となり、参加者数の合計は2,848名となりました。

2018年1月に法務省が難民認定制度の運用見直しを行い、難民申請者の就労や在留を制限する措置を取ることが明らかになった際には、規制の対象となる人の中にも保護を受けるべき人が存在することを指摘し、運用見直しが難民申請者の生存を脅かすことになるという強い危惧をすみやかにコメントとして発信しました。また同年8月に法務省が見直し後の状況について報告を発表した際も、難民申請者を保護する観点から懸念される点をコメントとして発表しました。

また、国際的な潮流として、従来の難民条約に基づいた受入れ枠組みに加え、さまざまな形での受け入れ(complementary forms of admission)が進んでいることを踏まえて2017年に開始したシリア難民留学生受け入れ事業(WCRPとの共同事業)は、2018年に留学生の一人を特集したテレビ報道が放送され、複数の企業から問い合わせを受けました。

2018年12月に国連総会で採択された、移民・難民に関する「グローバル・コンパクト(包括協約)」に関して、国際社会の協議の場にてJARも議論に加わってきました。また日本国内では、NGOやUNHCR、外務省との連携を開始し、今後も動向を注視していきます。

このページのTOPへ